ここでは、フレイルという概念や、ロコモティブシンドローム、サルコペニアについて紹介します。

フレイルという概念

フレイルとは、健康な状態と介護が必要な状態の中間で、虚弱状態を指す言葉です。

フレイルとは何か?

フレイルは体力や気力が衰え、健康とは言い切れないものの介護が必要になるほどではない状態のことです。たとえば、以下のように感じることが増えてきた場合、フレイルの可能性があります。

  • 疲れやすくなった
  • 外出するのが億劫だ
  • 走るとすぐに息切れするようになった。

フレイルの状態になると、些細な病気やケガ、社会活動や対人関係などの面でダメージを受けたことをきっかけに、回復力が低下しやすくなります。

ここでは、フレイルという概念や、ロコモティブシンドローム、サルコペニアについて紹介します。

フレイルの進行とリスク

フレイルは放置すると、進行してしまいます。たとえば、健康な人が風邪をひいても数日で回復します。

しかし、フレイルの状態になっていると、こじらせて肺炎になったり、だるさのためにバランスを崩して転倒したりする危険性もあるでしょう。

早い段階で予防や改善に取り組むことが大切です。要介護状態になるリスクを減らし、健康寿命を伸ばすことも期待できます。

フレイルの進行段階

以下は、健康から要介護状態にいたるまでのフレイル進行の流れです。

  1. 健康:生活習慣病予防として、バランスの良い食事や運動をする
  2. プレフレイル(前虚弱):健康から虚弱への移行段階で、歩行やしっかりとした食事・社会参加による早期の予防が重要
  3. フレイル(虚弱):筋力や活動量が低下しサポートが必要な状態で、リハビリや栄養管理・外出などの自立支援を目指す
  4. 要介護(身体機能障害):体力や機能が著しく低下し、医療・介護の総合的なケアシステムにより生活の質を重視した支援が行われる
フレイルの進行段階

東京大学 高齢社会総合研究機構・飯島勝矢:作図改編

ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは

ロコモティブシンドロームとは、加齢に伴う骨や筋肉・関節の衰えにより、歩いたり立ち上がったりすることが少しずつ難しくなってくる状態を指します。

ロコモティブシンドロームの原因

ロコモの原因は、運動器の疾患によるものと加齢に伴う運動器の機能低下の2つがあります。具体的には、以下のとおりです

  • 運動器の疾患:骨粗鬆症、関節リウマチ、変形性膝関節症、腰痛など
  • 加齢による運動器の機能低下:体幹・四肢の筋力低下、体力の低下、関節の痛みなど

複数の要因が作用し体のバランスが崩れることで、日常的な動作が難しくなります。

ロコモティブシンドロームのチェックリスト

ロコモティブシンドロームは、早めに運動の機能低下に気付き、進行を予防することが大切です。以下のチェックリストを確認してみましょう。

  • 片脚立ちで靴下がはけない
  • 家の中でつまずいたりすべったりする
  • 階段を上がるのに手すりが必要
  • 2㎏程度の買い物をして持ち帰るのが難しい
  • 15分ぐらい続けて歩けない
  • 横断歩道を青信号で渡り切れない

上記のチェック項目に1つでも当てはまる場合、ロコモのリスクがあります。まずは早めに医師にご相談ください。

ロコモティブシンドロームを防ぐためのケア

ロコモの進行を防ぐためには、筋力やバランス感覚を維持することが大切です。以下の2つの運動を毎日の生活に取り入れてみましょう。

  • 片脚立ち:左右とも1分間を1セットとし、1日3セット行う
  • スクワット:5~6回で1セットとし、1日3セット行う

片脚立ちは、必ずつかまるものがあるところで行ってください。また、スクワットは支えが必要な方の場合、机に手をついて行うようにしましょう。

サルコペニアとは

サルコペニアとは、加齢による筋力低下や筋肉量の減少のことです。

サルコペニアになると歩行や立ち上がりなどの基本的な動きに影響が出るため、日常生活の自立が難しくなる可能性があります。

サルコペニアの原因

サルコペニアは特に高齢者に多く見られ、65歳以上の約15%が該当するとされています。以下のような、加齢に伴うさまざまな要因が関係しています。

  • 栄養不足
  • ホルモンの減少
  • 運動量の減少
  • 酸化ストレス
  • 神経系の問題
  • 慢性的な炎症

高齢の方は、通常の生活を送っていても筋肉が減少しやすいです。筋肉量の減少によって転倒しやすくなり、骨折や寝たきりにつながるリスクもあります。

サルコペニアを予防するための生活習慣

サルコペニアを予防するために重要なのは、運動と栄養です。無理なく取り組みやすいことから始めてみてください。

たとえば、以下のような運動がおすすめです。

  • ラジオ体操
  • ウォーキング
  • ストレッチ

食事は、自分が食べやすいタンパク質を摂るとよいでしょう。肉や魚をあまり食べない方は、卵や牛乳などを豊富に含んでいるプリンやどら焼きなどからタンパク質を摂るのもひとつの方法です。

当院のフレイル・ロコモ・サルコペニアへの考え方

当院では、痛みを取り除く治療と健康的な体づくりの両立を目指しています。栄養療法や運動療法を取り入れ、フレイル・ロコモ・サルコペニアの予防と改善に力を入れている点が特徴です。

たとえば、専門のスタッフによる筋力や骨の健康を維持するための栄養指導や、運動プログラムの提案など、患者さんの状態に合わせた予防に対する取り組みを行っています。

寝たきりのリスクを断ち切り、患者さんが自立した生活を維持できるようサポートします。フレイルやロコモ、サルコペニアに関するご相談は、当院までお気軽にご相談ください。

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