ここでは、なぜ内分泌代謝内科の病気が見逃されやすいのか、主な病気と特徴、専門医に相談するメリットなどについて解説します。

内分泌代謝内科に関わる病気とは

  • 脳視床下部・下垂体(低身長症、先端巨大症、乳汁漏出症など)
  • 甲状腺(バセドウ病、甲状腺機能低下症など)
  • 副甲状腺(高カルシウム血症、骨粗鬆症など)
  • 膵臓(糖尿病など)
  • 副腎(高血圧症、低血圧症など)
  • 卵巣・精巣(インポテンツ、無月経、不妊など)

上記で紹介した病名はごく一部です。詳しくは内分泌代謝内科医にご相談ください。

内分泌代謝内科の病気はなぜ気づかれにくいのか

内分泌代謝内科の病気は、すぐに内分泌の疾患だと判断できる特徴的な症状がない場合がほとんどです。そのため、病気が気づかれにくい傾向があります。

たとえば、甲状腺の病気の場合、以下のように日常的な不調でも起こりやすい症状が多いです。

  • だるい
  • 浮腫みがある
  • 体重が増えた
  • 便秘がひどい

橋本病や甲状腺腫瘍などは、発症率が高いにもかかわらず症状が曖昧なため、見逃されがちです。特徴的な症状が少ない内分泌疾患を診断するためには、高度な専門知識が重要です。

内分泌代謝内科に関わる病気とは

内分泌代謝内科で診る主な病気とその特徴・症状

内分泌代謝内科で診察する病気について見ていきましょう。

甲状腺の病気

甲状腺は、喉仏(のどぼとけ)のすぐ下にあり、代謝を調整する甲状腺ホルモンを分泌しています。ホルモンが過剰または不足すると、全身にさまざまな症状が現れます。

主な甲状腺の病気は、以下のとおりです。

バセドウ病 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、動悸・体重減少・指の震え・暑がり・疲れやすさ・下痢・イライラ感などの症状が起きる
甲状腺機能低下症(橋本病) ホルモンが不足することで、疲労感・むくみ・寒がり・体重増加・動作が鈍くなる・便秘などの症状が起こる
甲状腺腫瘍 腫瘍が大きくなると、甲状腺にしこりや腫れなどを感じることがある

副腎の病気

副腎は腎臓の上に位置し、ストレスや代謝・電解質のバランスを調整するホルモンであるコルチゾールやアルドステロン、アドレナリンなどを分泌します。

副腎ホルモンの過剰または不足により、さまざまな症状が出現します。主な副腎の病気は、以下のとおりです。

クッシング症候群 コルチゾールが過剰に分泌されることで、顔が丸くなる(ムーンフェイス)・体幹部に脂肪が蓄積する・皮膚が薄くなってあざができやすい・筋力低下・高血圧などの症状が現れる
アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症) 副腎ホルモンが十分に分泌されなくなる病気で、疲れやすさ・全身のだるさ・脱力感・筋力低下・体重減少・低血圧などが見られる
原発性アルドステロン症 アルドステロンが過剰に分泌されることで高血圧が生じ、重症になると低カリウム血症を呈することがある

下垂体の病気

下垂体は頭蓋骨のほぼ中心にあり、額の7cmほど奥にある小指の先程度の小さな器官です。成長ホルモンや甲状腺刺激ホルモン、抗利尿ホルモンなど、体全体のバランスを調整するさまざまなホルモンを分泌します。

主な下垂体の病気は、以下のとおりです。

下垂体線種 下垂体に腫瘍ができ、視野障害・頭痛・ホルモン分泌異常を引き起こす
プロラクチノーマ 下垂体から乳汁分泌作用のあるプロラクチンというホルモンが過剰に分泌される腫瘍で、女性では月経異常や不妊・乳汁分泌、男性では性欲低下や勃起不全などが見られる
下垂体機能低下症 下垂体がホルモンを十分に分泌できなくなり、疲れやすさ・低血圧・体重減少・食欲不振などの症状が現れる

なぜ内分泌代謝内科での鑑別診断が難しいのか

内分泌代謝内科の病気は、症状の原因が複数のホルモンや臓器に関係していることが多く、鑑別診断が難しいとされています。

内分泌系では、甲状腺・副腎・下垂体などが相互に影響を及ぼし合うため、1つの異常が他の臓器や機能に波及しやすく、原因を特定するのが困難です。

また、症状が漠然としているなど、単独の病気では説明できない場合もあり、複数の診断が必要になることも少なくありません。

さらに、内分泌の病気は潜在的に進行することが多く、サイレントキラーとも呼ばれています。たとえば、高血圧や肥満などは一見内分泌系とは無関係に思えます。

しかし、背後に甲状腺疾患や副腎疾患が隠れていることもあるため、専門的な診察が不可欠です。

内分泌代謝内科専門医に相談するメリット

内分泌代謝内科専門医に相談することで、患者さんの健康に大きなメリットがあります。

なんとなく調子が悪いといった症状でも専門的な視点から診察を行うため、早期に問題を発見できる可能性が高くなります。専門医は豊富な症例経験や知見に基づき、患者さん一人ひとりの生活習慣や体質に合わせた治療計画を立てます。

内分泌の病気の多くは適切な治療によって症状が改善するため、生活の質の向上が期待できるでしょう。

漠然とした体調不良が続く場合などは、お気軽に当院の内分泌代謝内科専門医にご相談ください。

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